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第2回


──2018年IBBYイスタンブル大会の構想はいつごろスタートしたのですか

セルピル・ウラル(以下、S・U) 最初、私たちÇocuk ve Gençlik Yayınları Derneği(ÇGYD/児童・ヤングアダルト図書協会)にはIBBY大会を主催しよう、という考えは一切なかったのです。もともと私たちの協会は使える予算も非常に少ないですし、国際的な会議を主催できる可能性は非常に低かった。
 2012年のことでした。IBBYのインターネットサイトに、以前もIBBYの大会をプロデュースした会社から、ÇGYDの理事と会いたいというメッセージが掲載されました。理事会メンバーから私も含め三名が出席しました。そこで「IBBYの大会をトルコでやりましょう。我々がサポートしますよ」という言葉をいただいたのです。

──それにÇGYDとして応えた、というわけですね

S・U そうです。お話をいただいた時に、我々には国際会議を開催できるほどの予算の確保は非常に困難である、ということをお伝えしました。それでも、長期にわたりIBBYの一員として、トルコで児童・ヤングアダルト文学に取り組んできましたから、その積み重ねと知識はあります。するとプロデュース会社から、国際会議開催のための予算確保の道筋はたてること、スポンサーとなる企業や団体も見つけられると言っていただいたのです。それを聞いて、考え、開催国として立候補することを決めたのです。

──開催国候補としてどのようなアピールをされたのですか

S・U ÇGYDがどのような協会であるか、またこれまでの活動に関する資料を準備しました。また、開催地となるはずのイスタンブルの紹介に関する資料、開催に協力を宣言してくれた機関や団体からの、署名入りの推薦書などです。これらをプロデュース会社が正式な冊子にまとめ、IBBYの実行委員会に提出しました。2013年のことです。

──イスタンブルでの開催決定はどのように報せが来たのですか?また、その時のお気持ちは?

S・U 当時、ギュルチン・アルポゲ教授がIBBYの理事会に所属していました。ボローニャでのIBBY理事会の会議の際、ご自身でÇGYDの資料を提出したのです。プロデュース会社の担当者も会議の行われているボローニャに行き、会議が終了するまで会議室のすぐ外でずっと待機していてくださいました。そして会議後、報せを受けて、トルコに電話で伝えてくれました。協会全員で大喜びしたのは言うまでもありません。
 もちろん、ひとつの国際会議を主催するということは非常に大きな責任を伴います。その重圧は大変なものです。以前の開催国から色々と教えていただき、情報提供をしていただきました。

──IBBY大会には、毎回異なるスローガンやテーマがあるそうですが、イスタンブル大会ではどのようになる予定ですか?

S・U 私たちの考えているテーマとスローガンは「East Meets West Around Children’s Books and Fairy Tales」です。トルコは、世界の東と西を結ぶ橋の役割を果たす国です。アジアとヨーロッパ、両大陸にまたがっていますから、このようなテーマを選びました。文学として文字で書かれる子どもの本と、言葉として語られるおとぎ話。このふたつの語も使いたかったのです。ですから、開催中にはイスタンブルやトルコに関する本も紹介できれば、と考えています。

──IBBY大会はトルコの児童文学、ヤングアダルト文学にどのような影響を及ぼすでしょう。

S・U 非常に良い影響があるのではないか、と期待しています。トルコ国内に、子どもの文学に興味を示さない、または知識を持たない人は多くいます。児童書に関わってきた人だけではなく、そういった人たちに最初の入り口として、トルコでもこのような動きがあるのだということを知っていただきたいのです。

──イスタンブル大会で、特に日本の関係者へお伝えになりたいことはありますか?

S・U 日本では、大震災(注:2013年東日本大震災)の津波によって被災した子どもたちのために、読み聞かせや本の提供といった活動を続けていらっしゃる方たちがいます。そういった方々のお一人をお迎えして、活動の内容と、子どもたちへの影響などをお話していただきたいと考えています。そのために、JBBY(日本国際児童図書評議会)と連携して動いています。

──イスタンブル大会に参加した方々に、イスタンブルという土地で感じてほしいことはありますか?

S・U イスタンブルという都市の特徴――ヨーロッパと中東をつなぐ都市であること――に気付いていただきたい。中東からの難民の子どもたちのために、これまで何がなされてきたか、今後何ができるのかということをまずは見ていただきたいのです。そのために、イスタンブルの関連する協会や基金の活動について、資料を集めたいと考えています。
 今回は、ギュルチン・アルポゲ教授にお助けいただいて答えさせていただきました。

──次回は、2016年ニュージーランドのオークランドで開催されたIBBY大会の様子をおうかがいします。

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Serpil URAL(セルピル・ウラル)

1945年、トルコのイズミル生まれ。イスタンブルのウスキュダル・アメリカン高校、アメリカのブラッドフォード・ジュニア・カレッジ、イスタンブルの公立芸術学院(現在のマルマラ大学芸術学部)を修了。広告会社でコピーライター兼グラフィックデザイナーとして活動する。1978年から児童書に携わり、1980年にはミュンヘン国際児童図書館で長期の研修を受ける。1986年、第5回野間国際絵本原画コンクールで佳作を受賞。トルコ国内でも1997年にルファット・ウルガズ笑い話文学賞、トルコ・イシ銀行児童文学大賞を受賞。IBBY会員。
ウィスコンシン州国際アウトリーチコンソーシアムでの児童文学講演会で2003年の講演演者を務めるなど、国際的にも広く活動している。

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©Serpil URAL



Gülçin Alpöge(ギュルチン・アルポゲ)

1935年、イスタンブル生まれ。イスタンブル・アメリカン女子カレッジを卒業後、イスタンブル大学に入学。その後ニューヨーク大学で大学院を修了した。トルコ国外で13年間、保育所の教員として勤務し、所長も務める。二カ所の保育所の設立に関わる。その後、1980年、ボアズィチ大学で講義を担当。1983年に講師、1989年に准教授、2002年に教授となった。同大学の教育学部で授業を受け持つ。
学術論文や書籍のほか、児童書も手掛ける。最初の作品『シュプシュプとトゥプトゥプ』(アルクン出版)から今日にいたるまで、30冊の児童書を発表している。また、物語やトルコの昔話などをあらたに書き起こすなどの活動も行っている。
作品は『アスルはにちようびがだいすき』(ギュンウシュウ出版)、『ひかりがすきなむし』(ジャン出版)など。

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©Gülçin Alpöge