第6回
──現在、トルコ内で児童文学作家の育成を目的にして、実現した、もしくは計画中のセミナーやプログラムなどはありますか?
セルピル・ウラル(以下、S・U) 私が把握できている限りでは、残念ながらありません。トルコ政府の側からもそういった働きかけはありません。そういった企画を立てている人がいるとは、聞いたことがあります。大学で児童文学を研究している先生たちが、児童書はどうあるべきかについて、特別授業を実施したそうです。でも、コンスタントに行われているわけではないようですね。
──では、もしセルピルさんなら、どのようなセミナーを実施されますか?
S・U もし、私が企画の責任者なら、もしくはそういった授業ができる立場にあるなら、「作家としての創造性」という授業をするでしょう。その中に「子どもたちのために書く」という内容をつけ加えたいと思います。
さらに、「児童書編集者」に特化したクラスも開きたいですね。その一方で、お父さんお母さんのために、読み聞かせの重要性と何歳からどのように始めたらいいか、7歳で「文学」作品に触れさせるためには……などを教えるワークショップも開催したいです。
──現在、トルコ児童文学・ヤングアダルト文学においてリーダーシップを見せている作家を教えてください
S・U ミヤセ・セルトバルト、セヴィム・アク、ベヒチ・アク、マヴィセル・イェネル、アイトゥル・アカル、それにヌル・イチオズの名前を挙げたいと思います。
──では、今後、第一線に出てくるであろう児童文学・ヤングアダルト文学作家は?
S・U コライ・アヴジュ・チャクマン、デラル・アイラ、サラ・シャーヒンカナトでしょうか。
──出版社ではどうでしょうか。積極的に質のいい児童文学作品を送り出そうとしている出版社は?
S・U 現在のトルコで児童文学に特化して力を入れている版社は、ギュンウシュウ出版、トゥデム出版、ジャン・チョジュック、レッドハウス、それにマーヴィ・ブルットですね。
その他、総合出版社として通常の文学作品も扱いながら児童文学作品も重要視して、すばらしい作品を送り出している二大銀行の出版部があります。ヤプ・クレディ出版部とイシ・バンカ出版部です。
将来的に、児童文学で重要性を増してくるのではと私が考えているのは、サル・ガガ出版、フォム出版、チズメリ・ケディ出版、エルデム・チョジュックですね。
(筆者注:「チョジュック」はトルコ語で子どものこと)
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ありがとうございました。
現在のトルコの児童文学についての質問は、これで終了いたします。
第2弾のインタビューでは、セルピルさんも創立に関わった、トルコの児童文学・ヤングアダルト文学の発展に尽力している「児童・ヤングアダルト文学出版協会」についてお話を伺っていきたいと思います。